2018年5月28日月曜日

だしの研究(2)

昨日に続き、本日もだしソムリエ協会開催のだしセミナーに参加しました。

本日のテーマは、西洋のだしと中華のだしです。

西洋のだしの講師は、銀座のRestaurant Annoreveの山岸シェフです。
フュージョン料理を提供されている方で、有名レストランで料理長を務められ、ハリウッドのアカデミー賞での料理にも関わられた方だそうです。

作るのは、次の3種のフォンを造りました。
白色系のフォンは
①フォン・ド・ヴォライユ
②フュメ・ド・ポワソン
褐色系のフォンは
③フォン・ド・ヴォー

①フォン・ド・ヴォライユ
鶏を中心に用いたフォンです。透明で黄色がかっています。香りは当たり前ですが鶏の香りです。
②フュメ・ド・ポワソン
舌平目を用いたフォンで、生から煮だしたので透明で魚の香りのするフォンが出来上がりました。
白色系2種
③フォン・ド・ヴォー
子牛をオーブンで焼いた後に煮だすフォンで、ブラウンで濃い味の骨髄の香りがするフォンができました。

その後に、それぞれのフォンを用いて、3品の料理を山岸シェフが造り皆で試食です。
①フォン・ド・ヴォライユを用いて、地鶏の胸肉のソテーです。

②フュメ・ド・ポワソンを用いて、真鯛の白ワイン蒸し
③フォン・ド・ヴォーを用いて、もち豚のロースト

それぞれ、フォンをソース煮詰めてその旨味を活かす料理でした。同じ食材を用いると間違いないということは良く理解できました。

続いて、中華は赤坂四川飯店総料理長の鈴木シェフです。
中華は、湯(タン)というだしが複数あります。また、地域で呼び名も変わります。しかし、基本的な考え方はどこの地域も同じという、さすが中国というだしの世界です。
基本的には、最上級の湯、普通の湯、2番だしの湯という3段階に分かれています。
それぞれの湯は、それぞれに合う料理に使われます。
今日は3段階の湯を引いて、それぞれの湯に合う料理を鈴木シェフが造ります。

四川での湯の呼び名は、ランクが高い方から「清湯」「毛湯」「白湯」となる。広東では、「頂湯」「上湯」「二湯」となる。
今回、毛湯を造り、毛湯から清湯と白湯を作るという手順でした。

まずは毛湯造り。
老母鶏、鶏ガラ、手羽先、鶏もみじはそれぞれ表面のアクをとり下茹でしてあります。
これらを水に入れ火にかけて、丁寧に灰汁をとります。その後ネギ、生姜の香味野菜を加えて加熱します。表面に浮いた油を取り除きながら煮込みます。弱く沸騰している状態を保ちます。
毛湯の出来上がりです。

頂湯は毛湯を沸騰させて、鶏ささみと豚赤身ミンチを混ぜて水で溶いて紹興酒を加えたものを加えます。そこに、金華ハムと干し貝柱を加えて煮ます。ここでも紹興酒を加えて加熱を続けます。肉が浮いたら長ネギ生姜を加え2-3時間煮込みます。
煮詰まって黄金色のスープになったら濾します。これで、清湯の出来上がりです。品の良いスープです。

清湯は綺麗なスープ

白湯は、毛湯に背脂とラードを加え強火で煮たてて1時間ほど煮込みます。スープが白濁したら濾して出来上がりです。

清湯を用いて、夏草のスープ

毛湯を用いて、卵ときくらげのスープ

白湯と毛湯を用いて白菜と貝柱の煮込み

2018年5月26日土曜日

だしの研究(1)

本日、だしソムリエ協会が開催するセミナーに参加しました。明日も、引き続きセミナーがあります。

だしについて包括的な勉強ができるということで、札幌から東京に来ています。
このセミナーの内容は次のようです。

  1. 日本人の食生活
  2. だしと調味料
  3. 日本料理とだし
  4. ラーメンとだし
  5. 西洋料理とだし
  6. 中華料理とだし
本当に、包括的なお話で、基礎の学習機会の提供ということのようです。

学習方法は、今時あり得ない、成人学習モデルには全く当てはまらない、講義形式でした。本当に、まだ、こんな学習環境で成人学習を行っているとことがあること自体が信じられませんが、ある意味、これが現実なのかもしれません。

数か月前に放送されていた、嵐の桜井さんが主演されていた学園ドラマ「先に生まれただけの僕」では、アクティブラーニングという言葉で成人学習の一つの手法が紹介されていました。日本も、成人学習がここまで浸透してきたかと、ホットしたのでした。十数年前に、企業の学習や研修などで、「教えない学習・研修」ということを唱えて、この方が学習成果が高いと訴えてきました。

当時は、まだ大学教育にさえ導入されていなかったので、私の言っている意味がわからないという教育専門家もいました。欧米では、すでに成人学習理論に基づく教育システムが動いており、中国や韓国はこの手法に追随していました。このままでは日本の教育はどうなるの?心配したのを思い出します。日本は、中国に追いつけなくなるという心配です。

その後、教授システム学という学問領域が日本にもでき、理論的な学習システムを構築するようになります。それが長い時間をかけて学校教育を変えてきていると認識しているので、嵐の桜井さんのドラマを拝見して「ホッ」としたのです。
ところが、まだまだ一般の教育には浸透していないのであるということを、本日のセミナーで学習側として経験してしまいました。教育をする側の方は、もう少し教育や学習のありかたについて勉強されると良いのになと思います。

話が全く違う方向に行ってしまいました。
日本のだしほど、再現性が高いものはないのではないかと感じました。当然ですが、同じ材料を用いるという前提の上での話です。すなわち、簡単なのです。
和の代表的な乾物を用いるだしは、中華やイタリア・フレンチのだしの引き方に比べると温度管理と手順が簡単です。かつ、時間もかかりません。時間がかからない理由は、だしの素材を作るまでに多くの時間と手間がかかっているので、その材料を用いると簡単だということです。最初から各々がとれたての材料からだしを引く中華・西洋と比べると、簡単ですし時間もかかりません。このだしの素材を提供する乾物の力は凄いなと思います。

もちろん、和のだしでも、乾物を使わないで素材からだしを引くものもあります。こちらは、中華・西洋だしと同様に、時間と手間がかかります。ラーメンのだしなどは、中華の湯の引き方に近いので。
ということで、明日も講義型のセミナーは続きます。

テースティングをしました。
煎り大豆、血合い抜き鮪節、干香茸の混合だし(写真 左)
切り干し大根、スイートピア(トマト)の混合だし(写真 右)

香茸のだしは初めてでした。3種混合でのテースティングでしたので、香茸だけでどんな香りと旨味なのかわかりませんでした。3種を混ぜただしは、悪くないけど雑味があると感じました。この雑味は何が原因なのかは分りませんでした。

切り干し大根は、そのものの香り・味・旨味を提供するので強烈です。ドライトマトのグルタミン酸はほとんどかき消されますが、何かあるという余韻は感じます。

色々なだしがあります。日本の食材は豊富なので、まだまだ新たな組み合わせで美味しい旨みのだしが開発されるかもしれません???

2018年5月11日金曜日

桜(SAKURA) 弘前城 青森県

4月末の連休の初めに弘前へ。
昨年に続き桜が目的でした。昨年は、同日程で伺った際には、満開の2日間を過ごしました。今年は、昨年と比べて、1.5日遅らせての訪問を予定して行きました。その目的は、花筏です。桜の花が散り、お城の水面を覆い尽くす景色が見られるそうです。話には聞いていますが、見たことが無いのでそれを目的にしました。

弘前には、秋田県から入りました。大館市できりたんぽ鍋をいただき、その後弘前にはいるという計画でした。大館のきりたんぽ鍋もいくつかお店がありますが、やはり老舗の「むらさき」に伺いました。10分ほど早く着きましたが、快く迎えて下さいました。多分、30年ぶりのむらさきのきりたんぽ鍋です。味は相変わらず良いだしを用いて、大変厚いきりたんぽが乗っています。ここの切りたんぽは、粉々になることはありません。煮込んでもしっかりしていて、これが切りたんぽです。美味しいきりたんぽ鍋でした。


大館経由で弘前に入り、HOTELに行く間に、リンゴパイ4種をゲットしてチェックインです。荷を置いて、カメラを持ち、いよいよ弘前城へ1年ぶりの訪問です。
リンゴパイ人気No2の駅前のパン屋さんスリーブリッヂ (Three Bridge)
街の中は、桜の花びらが冷たい風に舞っています。期待大でお城に向かうと、暫くすると城の外堀の桜が目に入りました。満開です。近づくと、外堀には桜の花びらが落ちています。一面桜の花びらとはいきませんが、所々が桜の花びらで覆われています。今晩と明日にかけて気温が上がり風が吹くと桜が散り、筏になるところが見られるかもしれないと、淡い期待をいだいて、一晩目の夕食に向かいました。

予約はせずに、小料理店のふじやへ向かいました。ラッキーな事に1席だけ空いているということで席について、アラカルトでオーダーです。しばらくすると、長野から来られたという方がお一人で来られ、閉店までゆっくりとお話ししました。大変楽しい時間を過ごすことができ、今年の弘前はラッキーかもしれません。
ふじやさん
翌朝は、朝からお城へ直行です。昨日より確実に散った花が増えています。筏までにはもう少々足りないという所でした。その後、津軽塗の職人さんを訪問し、津軽塗の現状などについて色々とお話しできました。文化庁政策により、補償金が出ていることと、職人が育たないことに悩まれていたのが印象的でした。二日目は、曇りで光が余り良くない1日でしたので、写真はあまり取れませんでした。
伺った津軽塗り職人さんのお父さん(有名な方でした)の記事
最終日の朝は、昨日よりも早起きでお城へ行きました。ラッキーです。ほぼ完全なる花筏を見ることができました。水面一面はピンク色で、桜の木もピンク色です。これは、きれいな光景です。風の向きで、筏が移動することを経験しました。1時間ほどで、お堀の反対側へ移動するのです。朝起きで行ったのが幸いして、ベストな状況での花筏を見ることができました。朝起きは良いのですね。

弘前の桜は、昼間の桜の他に、夜桜は幻想的で異なる趣の桜が楽しめます。また、お城以外にも見所があります。見どころ満載でした。
二日目 内堀では風の関係で筏は堀の奥へ
二日目;ほぼ筏ができました
最終日:外堀の一面の花筏に桜の影が映ります