2017年10月27日金曜日

食べ歩き(103) 気仙沼 福よし 

フレンチ三国シェフが、「人生最高レストラン」で一つ目にあげた「福よし」に25年ぶりに伺いました。そういえば、震災後に別の意味で話題になった「美味しんぼ86」でも紹介されていました。
25年前は、三国さん情報や、美味しんぼ情報もありませんでしたが、美味しいお魚の店で有名でした。勿論震災前ですので、今の場所ではありませんでしたし、店そのものが今とは異なります。
現在の気仙沼港は、震災復興の最中で道はまだできておらず、トラックがバンバン走っています。防波堤の構築と、道の整備、土地のかさ上げ等々が同時進行していて、歩道は整備されておらず、舗装されていない道も散見されます。

元々、お魚嫌いなのです。25年前に福よしに連れて行かれた際には、いやいや付いていった記憶があります。お魚は全て嫌いで、骨が口に入ることが許されないという子供が、そのまま大きくなったので、物心がつくころからつい最近までの50年間、魚は苦手でした。
最初に魚を食べたのは、お刺身でした。ただし、青魚は全くダメでした。お刺身は食べられるが、煮魚や焼き魚は大嫌いでした。最初に焼き魚を食べたのは、60歳を前にした最近です。ある方に、「この魚は今迄の物とは全く違うので、だまされたと思って食べて。」と言われて食べたのが、ノドグロでした。確かに食べられなくはないなと思ったのです。次に食べたのは、青魚のお刺身です。食べられました。美味しいです。閉ざされていた魚のための口が、少しずつ心を開いていくような時間のかかりようで、魚への嫌悪感が剥がされてきている途中です。
少しずつ、魚が口に入っても何とかなるようになってきています。細かな骨が無いという条件を満たす魚であれば何とかいけるようになりつつあります。

今回の福よし訪問は、自ら選択してのことでした。キンキの焼き物を一度食べてみたいと思ったのが切欠でした。キンキは北海道の方が多く揚がるので、地元で食べればよいのかもしれませんが、福よしのキンキは絶品という情報に誘われてのことです。三国さんが美味しいという魚がどんなものかを試してみたというのが動機でした。(このブログの「ラベル」に初めて「魚」というラベルが設定された記念すべき回です。)

店に入ると、一度お会いしている親方が居られました。何となく覚えているのもです。
25年ぶりですという話や、震災の話をしました。もちろん、キンキは事前に予約してました。台風も来ていたため漁が無いと食べられないので、そこは抜かりなく事前予約済みです。キンキが焼けのには1時間くらいかかるということで、お刺身、ふみそ焼(イカとイカワタを味噌で焼いたもの)、焼き牡蠣をいただいてキンキを待ちました。

出てきたキンキは焼き上がりで25cm以上ありました。コラーゲン状の身と、白身が重なり大変おいしい焼き魚でした。炭の遠赤外線でじっくり1時間かけて焼くと、何とも言えないバランスで焼きあがるようです。美味しいです。
カシラの部分は、親方がこうやって食べると良いと、手で割ってくれました。それを、やはり手と口で身をはがしていただきました。この部分もお美味しいです。

食べ終わった骨やカシラを、湯+ショウガ+ネギ+少しの醤油をかけて飲む、「医者いらず」をいただきました。この味は忘れられない、スープでした。一滴も残さずにすすりました。もう一回湯を入れてと言いたいほど美味しいです。
「医者いらず」という呼び名は、親方が幼少の頃に親や、祖父母から受け継いだ呼び名だそうです。体が温まるので、医者が要らないということのようで、青森のリンゴの位置づけですね。このスープは、キンキでないと出ないそうです。キンキの脂、焼の芳ばしさと香りに気が付かないほどのショウガとネギの香りが無いと出ない味だそうです。このスープをもう一度いただきに来られれば幸せですね。
いしゃいらず
1時間後のキンキ
ふみそ焼
刺身(中トロ、北寄貝、もうかのほし)


横切る道路は1M以上低い
魚市場のセリ後

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