2018年1月27日土曜日

食べ歩き(116) 伊達屋 塩雲吞麵 福島市

ラーメンはあまりいただかないのですが、この伊達屋というお店は、東北の福島市のそれも市内から外れたところにありながら、大変評価が高いお店なので興味がありました。福島市内にはよく行くのでが、なかなか伺う機会が得られずにいました。ネットで確認すると、開店後はお客が並んでいてスープがなくなると閉店ということなので、時間の調整が難しく行けずじまいでした。

やっと時間ができたので初めての訪問です。開店前に着くとまだ誰も並んでいません。雪が降り、積雪の道で、かつ朝から冷えて寒いのが幸いしたのか、お客さんの出足が鈍いようです。店のドアの前に名前を記すノートがあり、その一番上に名前を書いていると、2番目の方が来られ、3番目の方もと、ドンドンお客さんが集まってきます。2番目の方は初めて車で来たのですが、どこに止めましょう?と雪の駐車場で右往左往しておられました。


開店時間になり、最初に名前を呼ばれ店内に入ると、元気な声で迎えてくださいます。席に着き、私がオーダーを伝えると、フロアー担当の奥様(たぶんそうだとおもいます)が大きな声でオーダーを調理担当の旦那さんへ伝えます。すると、旦那さんが厨房から、「ありがとうございます、●●ですね了解しました。」とかえします。そして、私のオーダーが終了すると、二番目に待たれていた方を外に呼びに行かれます。2番目の方が店内に入り、オーダーが決まり、奥様と旦那様のやり取りが終わると次のお客さんを外に呼びにいかれます。一人ずつ呼んで注文を丁寧に聞いてから、次のお客さんに同様に対応するという店の方針が伺えるものでした。どのお客様にも同じように接する姿勢です。すごく気持ちの良いお客の出迎えと、注文をツールとした奥様と旦那様とのやり取りが素敵なお店です。

1番であった私は、厨房の中が伺える席にどうぞと通されました。その席は厨房で働く大将の目の前なので、大将の動き、スープの寸胴の中などがつぶさにみてとれるので興味深く観察していました。
大将が塩を目分量ですくいドンブリに入れる姿はスキがありません、少しだけ腰を落とし前かがみになり、目の少し下に塩を持ち上げ、一定のリズムで同じ動作で一定量の塩をすくい2回にわけて丼にいれます。この姿勢や塩をすくうタイミングなどが毎回一緒なのです。寿司職人が寿司を握る姿と一緒でした。職人技ですね。
その動きは、静かで緻密で無駄がないのがよくわかります。派手なパフォーマンスではなく、静かできれいな所作です。これを見られただけでも、1番に来た甲斐がありました。

注文したのは、塩のワンタン麵にチャーシュートッピングです。一番の人気商品は、塩雲吞麵と書いてあり、次が塩チャーシュー麵なので両方入れていただきました。
1回に作るのは3人前のようです。最初に作られたのが、私から3番目の方まででした。その後も、3人から4人前を一度に調理していました。

塩雲吞麵チャーシュートッピングが出されました。
スープは透き通っていて綺麗なスープです。味は、大変あっさり味ですが、その後にコクが残ります。何でスープをとったのかが全く分からないような仕上がりになっています。そのために、主張が強くないのですが美味しいのです。和風のだしでいうと、鰹だしでもなく、魚の乾物からとっただしでもなく、昆布だけのだし、椎茸だけのだしでもなく、これらが絶妙にバランスされ、かつ、一番だしのように旨みはあるが個々の素材は主張していないのです。
旨味とコクはありますが、自然でいやみが全くないスープだと思いました。あまりラーメンを食さないのですが、このようなラーメンのスープは初めてでした。

次の感動は、チャーシューです。美味しいです。柔らかいです。消えます。しつこさは全くありません。何枚でもいけそうです。相当な時間をかけ、しっかりと管理しないとできないチャーシューです。何度か、溶けるよなチャーシューに出会いましたが、これはその中でも絶品ではないかと思いました。次回来られる時があれば、チャーシューをダブルでいただきたいです。このチャーシューの作り方を教えていただけたら幸せです。

もう一方のエビワンタンは、プルットとツルットであらわせます。美味しいワンタンです。これも手作りワンタンで、ワンタンの皮もしっかりしていています。ワンタンとスープでも1品として商品化しても良いのではないかと思いました。

麵は細麺です。私自身は細麺派なので、この麵の細さが好きです。よって、伊達屋さんの自家製麵は細麺で私好みですので、よりおいしく感じました。私がこのラーメンを食し始める少し前に、あるお客さんが「麵は硬めでお願いします。」というのを聞きました。そうです、博多みたいに麵の硬さを指定できたようです。

最後のスープまでいただいて、大満足でお会計をしようとレジのところに行くと、女将さんが対応してくださりました。すると、その後ろに旦那さんが来られて、「ありがとうございました。お待たせしてすみませんでした。また、是非おこしください。」と挨拶されます。私は、「大変美味しいくいただきました。ありがとうございました。」と返して店をでました。最初に入った時から、最後に出るまで、お客さんの一人一人に目を配られている姿勢が素晴らしかったです。本来のおもてなしなのではないかなと感じながら帰路につきました。

大将に言われたからではありませんが、本当にもう一度伺いたいと感じました。お二人のたいへんやさしいきもちが、お客さんへの対応や、ラーメンのスープや、チャーシューや、ワンタンや、麵ににじみ出てくるような感覚を得ました。ラーメンだけではなく、このお店で得られる満足感は、やさしいおもてなしなのだとおもいました。凍えるような寒さの中で待っていたのを忘れさせてくれる時間と空間と雰囲気とラーメンでした。

もう一度伺って、塩雲吞麵を硬麵でチャーシュウダブルトッピングで食べみたいです。ラーメン店では滅多にないことですが、伊達屋さんが再訪してみたいラーメン店の2軒目となりました。

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