2017年12月21日木曜日

食べ歩き(113) アルケッチァーノ ジビエ考察

またまた伺いました。8回目のアルケッチァーノです。
鶴岡は雪が少しつもっています。アルケッチァーノまでの道路も雪が残っていて歩きにくい状況でした。

この時期のアルケッチャーノは3回目です。冬のこの時期は、庄内のジビエが出されてきました。たぶん今日もジビエかな??と思いつつ店に着きました。今晩のお客は、私達以外に、年配の方を含むご家族と、ビジネス関係の団体の方たち。店の中は話声でワイワイしています。

メニューが届きました。見ると予想通りにジビエ・ジビエ・・・とコースの最後にジビエ4重奏です。鴨、山形牛を挟んで、ウサギ、雉、熊が最後です。ここまで揃えられると、食べ比べ状態です。これは、楽しみです。

メニューには15品が記載され、前半から中盤は魚介中心の料理、その後にジビエという流れです。昨年のこの時期の料理と同じ内容の料理は1皿だけです。本当にクリエーティブはお店です。ここまで来ると、どこまで異なる皿を並べ続けることができるのだろうかと思います。これは、シェフと私の戦いですね??

全ての料理は、素材の持つ良いところは消さずに料理されています。塩の使いが際立ってきています。使用頻度も増えていますし、可能な限り塩でどうぞという意図を感じます。もちろん、オイルの使い方も抜群です。

今日、店に伺う前に、鶴岡駅前にできた、「FOODEVER(フーデヴァー)」(鶴岡市が「ユネスコ食文化創造都市」を標榜し、鶴岡市の食と風土を国内外に情報発信し、誘客を強化するための情報基地)に寄りました。この情報発信基地をプロデュースしたのは、ここのシェフの奥田さんです。ここに、代表的な塩、醤油、Oil等が紹介され販売されていました。

ここで、塩4種と、白醤油、オリーブオイル1種、バルサミコ酢1種を購入しました。目的は、手で石臼を回してソバの実を挽いて、そのままそばを打つと、雑穀としてのそばの香りと味を強く感じるそばになります。これに何を合わせるのが良いのかを検討中で、そのためにいくつか購入した次第です。この際に、私にはオリーブオイルの知識が無いので、お店の方に伺ったのですが、よく分からないという事でした。そこで、思いついたのが、オリーブオイルの使いかたなら、アルケッチァーノで聞いてみるということでした。

アルケッチァーノでは、2種類のオリーブオイルを使い分けているそうです。先ほど購入したものは使用していないことがわかりました。料理が進むにつれて、使い分けられているオリーブオイルの違いを少しずつですが感じられるようになりました。今晩のディナーの前半は、オイルの使い方確認と言うミッションと共に進んでいきました。

今日いただいた料理に使用されているオリーブオイルで試してみたくなりました。そこで、アルケッチァーノで使用しているオリーブオイルを分けていただくことに。このオリーブオイルに、数種類の塩の組み合わせで何がこのそばに合うのかを検討してます。この結果は、一期匠の別ブログ(一期匠 Many JPN)をどうぞ。

本日のメニュー

  • 庄内浜からたいの湯引きと月の雫の塩
  • サメと国産キャビアの冷たいカッペリーニ 
  • ひらめのエンガワとセロリのレモンじめセビーチェ
  • 魚のミルフィーユしたていろんなハーブと
  • ますの43C調理その骨とアボガト
  • マグロのグリルと小松菜のサラダ仕立て
  • ハタハタの湯あげたと酸っぱくした赤ネギ
  • 白子と宝谷かぶのリゾットトリュフの香り
  • 牡蠣と白菜とタラに柚のスープ スパイシーなバリバリ
  • 鴨肉とアサツキのペペロンチーノ
  • 山形牛のコンフィーユと赤根ほうれん草
  • ウサギとごぼうのスープ
  • きじとじゃがいものオーブン焼き
  • クマ肉のグリルとイタリア野菜
  • チョコレートのジェラード

ジビエ+山形牛の肉料理5種は、それぞれの肉の香りと味が際立っています。鴨は鴨の、雉は雉の、・・・。
そして、今回のメニューは次のような考察を、私に与えてくれました。

5種の肉をいただき、改めて米沢牛の美味しさを感じました。人の味覚に美味しと訴えられるようになっていることです。

ウィキペディアでは味覚を次としています。(引用)
  • 味覚(みかく)は、動物の五感の一つであり、食する物質に応じて認識される感覚である。生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが基本味に位置づけられる。基本味の受容器はヒトの場合おもに舌にある。基本味が他の要素(嗅覚、視覚、記憶など)で拡張された知覚心理学的な感覚としての味は、風味(ふうみ)と呼ばれることが多い。また、認識の過程を味わう(あじわう)と言う。
山形牛は、5つの基本味のバランスが大変良いのです。鴨は、牛に次いでバランスが良く、雉と続く。ウサギは、旨味と甘みがが少し落ちる。熊は、甘味、旨味が低く塩味も低い。

また、肉の味には肉の硬さも大きく影響する。味に直接影響するのではなく、硬ければよく噛むので、その分その肉が持つ本来の味を感じる。米沢牛と熊との大きな違いは噛むことで本来の肉の味の引き出し方に違いがあるからとも考えられる。熊は良く噛むことで、熊肉の本来の美味しさを強く感じます。

ジビエを頂いた後に、しばらくすると(数分後ですが)、ジビエを思わせる香りと戻ってくるような味覚を感じます。これを「ジビエ後風味」と呼ぶことにします。これは、私だけなのかな??という疑問もあります。

「ジビエ後風味」は、決して嫌な風味ではないのですが、フワーと独特の動物臭とでも言うような、あるいは、満腹感を与えるような感覚です。(知覚心理学的な意味での味のことを風味というので、ジビエ後に感じるのは「風味」かもしれないと考え、「風味」という用語を用いた。)

食べている際に感じる味覚で、最も主張がないのが雉でした。次がウサギ、牛、鴨、熊の順です。しかし、「ジビエ後風味」が最も強かったのは、食べている時の味覚とは全く反対の雉でした。鴨⇒牛⇒ウサギの順で進みますが、この間には、「ジビエ風味」をさほど強く感じませんでした。そして、雉を食べてる際には、アッサリした鶏に近い味覚を感じながら食べ終え、数分経つと、「ジビエ後風味」満載です。凄い「ジビエ後風味」を感じました

もう次のメイン料理の熊はいらないと思いながら、最もジビエの味覚を主張している熊を食べ合わると、雉の「ジビエ後風味」が全く消えています。これは、不思議な感覚でした。私にとってのジビエ感は、最終的には雉が一番強いという結論です。味で感じたジビエ感は熊ですが、実は「ジビエ後風味」と言う視点では、雉という結論です。実際、すこし戸惑い、不思議でした。



サメと国産キャビアの冷たいカッペリーニ  
ますの43C調理その骨とアボガト
マグロのグリルと小松菜のサラダ仕立て
牡蠣と白菜とタラに柚のスープ スパイシーなバリバリ
鴨肉とアサツキのペペロンチーノ
山形牛のコンフィーユと赤根ほうれん草
ウサギとごぼうのスープ
きじとじゃがいものオーブン焼き
クマ肉のグリルとイタリア野菜
チョコレートのジェラード

2017年12月19日火曜日

食べ歩き(112) KUROMORI 仙台市

仙台で本格的な中華を提供しているKUROMORI に伺いました。
黒森洋司シェフのこだわりを随所で感じられるディナーでした。

約1ヵ月ほど前に、仙台のヒロセガワサロンの教師としてお会いしましたが、今日は黒森シェフの中華を楽しみにして伺いました。仙台の街中は、光のページェント開催中で道路が混んでいて、15分ほど遅れてしまいました。店に入ると、すでに1皿目が終わるところでした。スミマセン。年配の二人、男女ペア一組、おひとりが私を含めて2人です。

最初の皿は、あん肝の四川ソース、スッポンの煮こごり、平目の昆布〆です。3品共に、食材は大変良いものですし、スッポンの煮こごりは、その食感が抜群です。

このあとに、角田市の斎藤ブタ(斎藤さんが育てたブタ)が、叉焼とバラ肉焼きで出されました。斎藤ブタは、黒森シェフが名付け親のブランドブタだそうです。シェフが食べ歩き見つけた、本当に美味しいと思えたブタだそうです。齊藤ブタの叉焼とバラ肉焼きは優しい甘みと良い香りを感じさせる肉でした。バラ肉焼きの方は、当然ですがダイレクトに豚の甘みと香りを感じられます。異なる2つの調理法で斎藤ブタを楽しみました。

次がイヨイヨお待ちかねの、「気仙沼吉切鮫尾ヒレ(フカヒレ)の煮込み」です。フカヒレは、1週間くらいかけて戻すそうです。何も余計な物を加えていないフカヒレの煮込みは大変優しい味です。そもそも、フカヒレには味がありませんが、この味がフカヒレ本来の味なのですと錯覚させるような味に仕上がっています。食感は溶けるようですがゼラチンの感触も主張します。これまで、そんなにたくさんのフカヒレをいただいた訳ではありませんが、これがフカヒレなのでしょう。今後は、このフカヒレが基準になるので、この後にこれを越えるフカヒレに出会うのが難しいのではと思います。

「地鶏のパリパリ揚げ」「芽キャベツの上海蟹あんかけ」と続きました。メインが「鴨とちじみほうれん草の甜麺醤ソース」です。この合鴨も柔らかいけど鴨のしっかりした歯ごたえを持ち合わせています。バランスが抜群です。

鴨がメインと思っていたら、そうではなかったようです。次に、「南三陸31頭吉品鮑の煮付け」が提供されました。吉品鮑は干し鮑の中では最高の品です。これを、オイスターソースを用いずに、自家で牡蛎を用いて煮込んでいるそうです。このサイズの干し鮑は戻し初めから料理として出すまでに20日前後をかけて料理するそうです。

吉品乾鮑というのは、南三陸の吉浜で取れた鮑を糸で繋いで天日干しするそうです。黒森シェフは、今年天日干しをされたそうです。生産の現場に出向いて、生産の現場にまでこだわって食材を選ばれているのがよくわかるお話でした。吉品鮑を次に食べる機会を持てるのかな?と漠然と思いました。

吉品鮑に関する「国際ブランドとしての岩手県産“吉品乾鮑”の価値と課題 -地域資源の価値創造のために-」(2016 宮田勉)という論文があります。これによると、17世紀から中国では干鮑を高級料理として食していたようです。岩手県産乾鮑(吉品乾鮑ブランド)は長きに亘り存続し、現在ではトップ・ブランドに君臨しているようです。宮城県はフカヒレどころか17世紀から築き上げた世界ブランドがあるのですね。

鮑の後には、〆?の「香麺(平目のだしの拉麺)」でした。

「まだ食べられる❓」と問われ、「はい」と答えると、麻婆豆腐を用意してくださいました。宮城県の村田町で採れる空豆から毎年作っている甜麺醤だけで作る麻婆豆腐も美味しかった。
デザートは、杏子の種から作られた杏仁豆腐でした。初めて食べた本物の杏仁豆腐です。これが杏仁豆腐なのだと認識しました。

(食材)+-(ゼロ)と言う、食材を活かす料理を堪能しました。
黒森シェフのポリシーに賛同です。是非、また伺いたいと思います。
気仙沼吉切鮫尾ヒレの煮込み
原鰭(げんびれ)
地鶏のパリパリ揚げ
芽キャベツの上海蟹あんかけ
鴨とちじみほうれん草の甜麺醤ソース
南三陸31頭吉品鮑の煮付け
村田の空豆甜麺醤の麻婆豆腐
杏子の種からの杏仁豆腐
<参考資料>
(1)2016 宮田勉 国際ブランドとしての岩手県産“吉品乾鮑”の価値と課題 -地域資源の価値創造のために- 国際漁業研究  第 14 巻,2016

2017年12月15日金曜日

食べ歩き(111) 秋田 すし兆

またまた、秋田訪問に合わせて、「秋田 すし兆」の親方に無理を言い予約を入れました。
寒波と低気圧で強風のでしたが、飛行機は無事に秋田空港に降りました。

秋田の雪も年々少なくなってきていると伺いますが、12月ですのでこの程度の雪が普通なのかもしれません。飛行機からの秋田の眺めは、一面真白ですが道路には雪がありません。空からの秋田は、白と黒のコントラストです。道路は真っ白の中を真っ直ぐに黒く描かれています。
今年の冬は早いみたいです。

季節も変わり、秋田の今の旬の食材の寿司を楽しみにしての来店です。HOTELから店までは、バリバリと音を立てて降り続けるアラレでした。店に入ると、先着のお二人がすでに来店済みで、空いている席は1席でした。今日は、私を加えて3名です。

親方は、先週末に東京・鎌倉で美味しいものを沢山いただいてきたそうです。うらやましい限りです。鰻は魚政で、日本橋のフレンチ、鎌倉のイタリアンだったそうです。最後のイタリアンでは、熟成の鹿肉が大変美味しかったそうです。鹿肉は癖がなく、ジビエでは食べやすいお肉です。それの熟成したものは、より一層美味しのでしょうね? 残念ながら、親方は、この店の名前を覚えていない??そうです。鶴岡八幡宮近くで、わき道に入ったところのイタリアンとのこと。Webで検索すると、店はありそうですが、そことは限りません。

鹿肉といえば、だいぶ前に、「今、猟で打ってきたという鹿のルイベ」をいただいたことがありました。これは美味でした。散弾銃の玉も入っていました。このことがあってからでしょうか?ジビエは、私に対して命の尊さを改めて感じさせます。生まれた時から食用として育てられる豚、鶏、牛。和牛は加えてヒトにとって美味しくするために手を加えられるわけです。これをいただいたときに感じる、肉への敬意と、ジビエに対する敬意には、本来差がないはずですが、ジビエの方がより強く敬意を感じて食すようです。

これは、私に限ったことかもしれません。この行為、思考自体が間違いなのかもしれません。どちらも、生をいただいているわけですので、感謝の気持ちは本来一緒でないといけませんでしょうから。しかし、ジビエを前にして、考えさせられる機会を得られるだけ幸せなのかもしれません。

なぜ、ふとそう思ったかというと、明日は、鶴岡のイタリアンに伺う予定です(また、記載します)。昨年のこの時期には、ジビエ料理が用意されていたので、明日もジビエかもしれないと考えていたことが、引き金になったのかもしれません。

冬に入り、魚も大ぶりの魚が増えてきているそうです。大型化で旨みを増す魚も居るようです。今日は、そんな魚も用意していると、16貫がスタートしました。

本マグロ
佐渡のブリ
ひらめ
こはだ
サワラづけ
サヨリ
本カワハギと肝

セリ(根付)吸物
サバ