十印は、米沢の町中から少し外れたところの、羽前小松にあるお菓子屋さんです。
地元で知らない方はいないのだと思いますが、旧米沢藩出身ではない私にとっては、ある時期までは、全く知らないお菓子屋さんでした。この店の存在を知ってからは、一度は行ってみたいと思っていたお菓子屋さんです。
元々は、米沢藩の塩問屋で、米沢藩の経済は十印で分かると言われるほどの米沢藩と密着した問屋さんだったようです。直江兼続や上杉家が米沢を治めた初代藩主の上杉景勝の頃には、既に塩問屋だったようです。現在は、18代で、明治になり始めた和菓子屋さんとしては4代目となるそうです。18代は、お元気で、19代もお店をやられています。大変親切な方でした。
十印は、火坂雅志氏の著書の羊羹合戦という本で知りました。
この本の後書きで、火坂氏が十印の塩羊羹を紹介しています。この中には、今は店を閉めた東京の羊羹で有名だった和菓子屋さんも紹介されています。
羽前小松にうかがって、十印の他に、もう一店舗有名なお菓子屋さんがあることが分かりました。錦屋というお店です。この店は、お菓子屋さんとしては十印より古く、230年も前から和菓子屋さんだそうです。錦屋さんも、混ぜ物や添加物は使用せず、安全で美味しいお菓子を作られています。小倉羊羹は献上品であったようです。十印、錦屋共に、小豆あんには相当力を入れて作られています。その製法は両店のHPにあります。小豆あんが大好きなので、この両店への訪問を楽しみにしていました。
十印と錦屋の「どらやき」で食べ比べてみました。どちらも美味しいどら焼きでした。これまでいただいた「どらやき」で、日本橋のうさぎの「どらやき」が美味しいと思っていましたが、この両店の「どらやき」は、うさぎやの「どらやき」と同様に美味しいものでした。「どらやき」の小豆餡は、十印のそれがうさぎやより美味しいと感じました。回りの皮は、錦屋のそれのほうが美味しい。十印の小豆あんに、錦屋の皮で包むと、うさぎやの「どらやき」より美味しいのでは??!!!と思いました。これも、一つの小さな町で、切磋琢磨してきた両店だからこそなのだろうなと、その努力に脱帽です。この町の方は、幸せです。こんなおいしいお菓子店が二店舗あり、いつでもいただけるのですから。
両店ともに、「どらやき」以外のお菓子も美味しいお菓子でした。奇をてらったようなお菓子はありませんが、しっかりと作られています。
十印塩羊羹と錦屋献上小倉羊羹は、まだ開けていません。羊羹も熟成させると良いと言われる方も多く、少し置いて落ち着いた頃にいただいてみようと思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿