2018年4月16日月曜日

食べ歩き(136) 天ぷら田ざわ 函館市

函館の天ぷら田ざわの田澤宏一さんの店にやっと伺うことができました。
近くて遠い店です。既に閉店を決めていると伺っています。予約の連絡を入れた際に、今年いっぱいで店を閉めようと思っているというお話を伺いました。

今年は週末のみ店を開き、これまでお世話になった方を対象にしたいと言われていました。数年前に交通事故にあわれていて体調が本調子ではないそうです。北海道だけでなく日本中にファンの多い方なので細く長くやっていただけると良いですが。

今回は、何度も連絡しましたが予約を受けるのは難しいというお話と、こちらの日程がなかなか合わないこともあり、だいぶご無理を申し上げて伺うことになりました。そう考えると、もしかすると最後の田澤さんの天ぷらになるのかもしれません。年内にもう一度伺えると良いのですが???それは叶わない可能性が高そうです。

6時からの予約でしたので10分前にお店に到着。他のお客さんが全員6時30分から開始ということです。そうであれば、一緒の方が良いので30分遅らせて同時スタートでお願いしました。他のお客さんは東京から来られた二人と、6名の地元の方々です。

皆さんが集まるまでの30分は、親方の田澤さんのお話を伺いました。事故後の体調が良くないこと。本当に年内で店を閉める予定でいること。現在は、これまでにお世話になった方々へのお礼のつもりで、それらのお客さんだけを対象に細々とやっていること。昨年の11月にそばを打つのを止めたため、皆さんからおしかりをいただいていること。仕入れ先のこと。名古屋、大分の漁師さんに伺い、お願いして魚を仕入れていること。友人の寿司一の横澤さんや蕎麦打ち名人高橋邦弘さんとの交友のこと。お魚が捕れなくなり、本当にいないので仕入れに困っていること。醤油の仕入れ先のこと。油の仕入れ先では、東京の有名店には地方にはこの程度の油で十分だみたいな対応を受け、かどや製油を使用していること。地方で商売をやることが難しいこと。地元とのかかわり。芸能人やマスメディアの取材への対応のこと。本当に、今はこれまで長いことお世話になった方々に御礼の挨拶回りをしていることと、御礼のつもりで店を開いているので、一見さんは全てお断りしていること。話したことを思い出しながら書き出してみると、30分で色々と話したな?!と思います。殆んど親方が話されていたので、お元気な証拠です???

全員が揃い、いよいよ開始です。
最初から超珍味でした。なまこ生くちこ(卵巣)でした。この時期だけの生くちこで、今から2週間程度の期間だけの珍味とのことです。塩加減とたぶんレモンの酸味がほどよく美味しいくちこでした。

二品目は、穴子の茶碗蒸し。

お造りは、インドマグロ、ふぐ、鯛、近海のサヨリ、ウニです。

ここから天ぷらの開始です。
エビ:しっかり揚げています。てんぷら粉は最小限の量で揚げています。
エビ頭:頭の固い部分は取り除き、カリカリ感は多少なくして、柔らかくて旨味の多いところだけを揚げています。食べやすくて美味しいエビの頭でした。

タラの芽:アッサリと最小の天ぷら粉にて揚げています。

ヒメゴチ:肉厚でこちの旨みを非常に感じる魚です。三川湾の漁師から直接入れている魚で、 築地でもあまり出回らないそうで、名古屋の料亭3店とここだけというのが売りです。尾びれが赤くて先まで揚がっていてフォルムが綺麗です。カリカリと美味しい尾びれ部分に、身は甘みがあり絞まっていて美味しい魚でした。

空豆は、大好きです。これも最小限のてんぷら粉で3個のそら豆をまとめて揚げています。揚げ色は白い状態です。

毛蟹と焼きウニのおぼろ昆布巻き:毛蟹と焼きウニの両品がそれぞれ主張します。また、おぼろ昆布の主張も強い一品です。それぞれの品が強い味を示し、それぞれを同時にかんじながらいただけます。

ふきのとうに赤生エビのしんじょう詰め:これも、ふきのとうの苦みを中心とした旨みと、赤エビの甘みを同時に感じられる一品でした。

甘鯛の天ぷらを自家製ポン酢で:このポン酢は親方の自家製で、カボス8割程度にジャバラ2割程度を手絞りにして、その他にレモンやその他の柑橘を加えて寝かしたものです。大変優しいポン酢になっています。ポン酢を使う機会は多いので、自家製もありです。時間がたつに連れて角が取れてきて美味しくなるそうです。

少しだけ焦がして揚げた筍 :少し焦がすことで、香りも楽しんでくださいとのことです。

あえてレア仕上げの墨烏賊 :半生の墨以下の美味しさを味わえます。

アスパラガス:太いアスパラガスの天ぷらも、可能な限り少ないてんぷら粉で揚げています。

穴子:しっかり揚げ切った穴子ではなく、身に多くの水分を含み、ふわっとした穴子の食感を残した穴子の天ぷらになっています。よって、天ぷらの回りのてんぷら粉も、少し柔らかい食感を残します。穴子の旨味や柔らかさを十分に活かした美味しい天ぷらです。ギリギリまで揚げきるみかわ流とは異なる美味しさを提供します。

ここまでは、コースの天ぷらで、この後は食事とのことです。もう少し試してみたいので、追加食材にあるキスとホタテをお願いしました。
キスは、丸く上げています。開いて骨をとり上げる際に腹を着けて揚げています。
ホタテは、この時期ですので、そんなに美味しいものはないだろうと思い、磯部にしてもらいました。食後に、親方もこの時期のホタテは・・・。というお話をされていました。お話の通りで、少し水分を含む柔らかすぎるホタテでした。


ご飯は、小エビの混ぜご飯と蛤の京都サクラ味噌と赤味噌をブレンドした味噌汁でした。サクラ味噌の香りを楽しめる味噌汁で、だしは弱めです。

王道の天ぷらネタ、ここでしかいただけそうにない天ぷら、創作天ぷらと田澤親方の天ぷらは楽しかったです。食材の水分をコントロールしてあえて抜き切らないで提供します。これが、田澤流での揚げ具合なのだと思います。しっかり揚げきった天ぷらとは一線を画す天ぷらかもしれません。

メモ
価格:15,768円
熱量:約1,660kcal

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