2018年2月28日水曜日

食べ歩き(125) 小判寿司 磐城棚倉

和知慎吾さんという方に会ってみたくて、郡山から小一時間かかる磐城棚倉に伺いました。和知さんは、仙台の小判寿司で修行されていましたが、ご実家を守るということで、この地に戻られたそうです。

郡山から水郡線という水戸と郡山を結ぶ電車で1時間と少しかかりました。福島県から茨城県へ向かうので平野の中を電車が進みます。郡山を出ると、だんだんと寂しい社外の景色になります。この地にて20年寿司を進化させ、いろいろな食材を選ばれて取り寄せて、美味しい寿司を提供しているのですから改めて感心しました。

和知さんが集めている食材は、半端ではないようです。日本中の最も美味しいとされる食材を集めているようです。どうやって集めるのか?産地には赴くのか?そして、それらの食材をどんな仕事で提供するのか?たくさんの疑問と、知りたいという欲求のままの訪問です。

午後六時過ぎに磐城棚倉に到着しました。駅から1キロメートルということなので、ゆっくり歩いて店に向かいます。店の前には、可愛い招き猫がお出迎えしてくれました。暖簾をくぐり店内へ。すでに、5名の先客1グループが乾杯を終えて料理に箸を向わせています。
予約していた・・・。と名乗り一番奥の席に通されました。

始めの料理は、富山産のホタルイカの酢味噌和えとメカジキでした。ホタルイカと酢味噌のバランスが抜群です。メカジキは何もつけずにいただいてみました。美味しいです。

続いて蒸物が奥から出されます。奥様が奥で蒸された茶わん蒸しです。素敵な小椀を開けると磯の香が漂います。青海苔の香りで、春のようです。これには、サイマキエビとヒイラギ貝に何と言っても相馬産青のりが散りばめられています。サイマキエビと貝の旨味と大変優しい香りが楽しめます。

続いて、目の前の大きくて厚手の陶器のスクエアの皿に宮城産アイナメの刺身が二切れ。これも、何も付けずにいただきました。アイナメを刺身で食べないところもありますが、北海道や東北では普通にいただきますし、これが美味しいのです。アイナメは刺身におろすのが面倒です。柔らかいので手際が重要です。

次いで、ブランドの藍島鰆の腹の部分を絞めてから12日ほど寝かしています。鰆が最も脂がのるのは冬で今の時期です。かつ、藍島産で腹の部分を寝かしているとなれば脂ノリノリです。すこしだけ炙りましたと聞いた途端に口に運んでいました。気付いたら写真を撮り忘れています。実は、本日いくつかの料理や鮨で写真がありません。写真の前に気づかずに食してしまっていたという状況がありました。この鰆は美味でした。(笑い)

刺身の後は、ポワロネギと下北産の鮟肝の酢の物でした。ポワロネギは地元で応援している農家さんが作られているそうです。ポワロネギはリーキとも言われます。ポワロネギの音はフランス語とイタリア語から来ているようです。地中海沿岸原産の野菜で下仁田ネギに似ていて太くて白いところがしっかりしているのが特徴のネギです。これを少し煮て、そこに鮟肝が乗りポン酢で和えられています。大変甘いネギでした。ポン酢も癖が無く美味しいポン酢で、全ていただきました。

続いて刺身の第二弾です。北海道真つぶ貝と宮城産金華鯖です。
貝大好き人間なので、この真つぶに、いい具合に包丁が入れられていて美味しい貝でした。貝やイカなどは包丁の入れ具合で味が変わる言う方もおられるようです。私には、包丁による味の違いは分かりませんが、この貝を、包丁に沿って噛んでいただくとマツブの味をじっくり感じられる刺身でした。
相馬のズワイガニのジュレとみそ添えが涼しい椀で出され、次いで75度で4時間煮炊きした宮城産鮑と肝でした。この煮鮑は柔らかく絶品です。残りの肝は酢飯と一緒に即席リゾットにしてくださいます。
焼き物は、たら白子焼きを羅臼昆布に乗せてでした。羅臼昆布の旨味を得た白子の焼き物は美味しいです。羅臼昆布の使い方が上手です。昆布も全部いただいてしまいました。噛めば噛むほど旨味が出てきます。

ここで目の前の大きな陶器のお皿が、少し小さくて薄く黑を基調としたスクエアなお皿に変わりました。小判寿司さんで使用している皿は、俊窯という長崎の窯の作品だそうです。お寿司用に用意された皿は、親方が本鮪の赤に合うお皿をということで俊窯さんへお願いしたもので、最近届いたそうです。大変良い皿です。使ってみたくなるお皿です。

さて、お皿も変わりこれからがお寿司となります。お寿司は順に次のようでした。
  • 絞めてから4日の北九州産の甘鯛
  • 北海道産アオヤギ
  • 絞めてから10日の仙崎産本鮪の赤味
  • 煮蛤:きれいにまとめられた煮蛤です。
  • 茹でエビ:身はプリプリで味はしっかりした海老です、何という海老か伺うのを忘れてました。
  • 江戸前(東京湾)小鰭:江戸前と最初に言われて、東京湾産?というところに行きつくのに、少し間がありました。そうです、江戸前のコハダです。〆てから3日のコハダは、仕事が活きた噛めば噛むほど旨味を感じるものでした。コハダは旨いです。
  • 仙崎産本鮪トロ:トロが融けます。融点低いです。
  • 虎河豚白子:なんと幸せなことでしょうか?! 美味しいの前にありがたいという食材ですね!?!
  • 昆布森馬糞海胆:この時期の馬糞ウニは昆布森以外に考えられませんでしたが、やはり昆布森産だそうです。馬糞の特徴の濃い味のウニでした。
  • 対馬産穴子(黄金穴子)を塩と煮きり:対馬さん穴子の最も脂がのるのがこの時期ですので、その通りの脂がのり口の中で溶けるようでした。
  • カスゴ (春子 鯛の子供 ):春子と言うだけあった、この時期にはとても良い食材です。鯛でなくカスゴはグッドでした。
  • 玉子焼きはすり身とだし巻きの二種
  • かんぴょう巻き:かんぴょうが旨すぎです。こんなかんぴょう巻は初めてでした。

どれも美味しい寿司です。どれか一つを選ぶことが難しいくらいに、全ての鮨がその食材の良いところを引き出すようでした。

何と言っても、鮨米が抜群に美味しいです。和知さんご本人も、最も基礎となる鮨米には最大限の気配りであたっていると言われていました。その通りの鮨米で、それぞれの鮨ネタを活かす鮨米を用いて鮨を握っているを感じます。

ササニシキを毎日使用分だけ自家精米して用いているそうです。米を炊く水は最近変えたそうで、仁井田本家の仕込み水が、今迄以上に米に合うそうです。膨張率が異なるそうです。加えて、蒸らしも重要で新聞紙と毛布で完全に蒸らすことで逆アルデンテの米を炊き上げるそうです。この逆アルデンテという表現は言い得て妙ですが、そのままを表しているように思いました。和知さんの鮨米への拘りには程遠いですが、私もそばに拘り続けているので、気持ちは分かるような気がします。

再訪問必須の和知さんでした。和知ワールドですね?!!お客様も多く、大変忙しい中色々と教えていただきました。また、ゆっくり伺ってみます。
最期に、駅まで奥様が送って下さりました。感謝感謝です。

本日の熱量 約1,373kcal

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