2018年2月21日水曜日

食べ歩き(124) 萬み高橋 仙台市

仙台市の和食では常に上位の萬み高橋に伺いました。
ご紹介いただいたのは、Hirosegawa Salonです。Hirosegawa Salonの先生で登壇されており、その会には参加できなかったので店に伺ってみたいと思っていました。また、先日伺った、日本料理e.の親方も、高橋親方をリスペクトされていました。2か月前に電話予約で、おまかせでお願いしています。

店に到着すると、今日も一番乗りでした。、Hirosegawa Salonから「私が伺うことをご連絡しておきますね。」というありがたい連絡をいただいていました。店に入ると、親方の前の席へ通されました。ご挨拶して、しばらくお話してから料理開始です。

食材を活かした料理が提供されるという評判なので、大変楽しみにしていました。また、修行されたのが京都ですので、京料理のだしの使い方も楽しみです。京のだしを基本に東北の方に合うようにアレンジされてきたのだと思われます。

関東では最近昆布を用いるようになりましたが、江戸時代は昆布が入手できないがゆえに鰹でのだしの引き方が主流でした。今でこそ、昆布、鰹、鮪、あごなどの魚を用いただしを用いますが、その歴史は浅いです。昆布を最も用いるのは、富山県です。北前舟で北海道から昆布を積み、富山に荷下ろして、ここから京へ運ばれたわけです。よって、富山の昆布文化、京料理の昆布の使い方は、筋金入りです。

話しが江戸の食文化に飛びますが、江戸でのだしは鰹だけでした。その典型が、そば汁、天ぷら汁です。江戸文化に昆布は無いので鰹です。それも、本枯節を用いるようになるのは結構後年ですので、本枯節が入るまでは、よりエグミの多い節を用いていました。

今でも、そば汁は本枯れだけで良く、これに醤油を用いればバランが取れると言い張る方もおられます。もちろん、この説は間違いではないのです。何故なら、鰹だしにはイノシン酸を含み、醤油にはグルタミン酸を含みますので、これで十分バランスがあるという主張です。しかし、醤油のグルタミン酸含有量は少ないので、昆布を用いなければ、そのバランスは大きくイノシン酸に傾くわけです。

京料理のだしの旨さは、このバランスが抜群であることに由来するので、その点で醤油で十分という主張はお粗末かなと個人的には思います。実際に、現在の凄く人気のあるそば店のそば汁は、昆布、鰹とどんこまで用いて、グアニル酸も加えています。

高橋親方は、比較的シャイな方で、最初はお互いを探るように対応されます。ここを乗り越えると、ずーっとお話している方です。よって、常連さんとはお友達です。私は今日初めてうかがったのですが、最初はお客が私一人でしたので、最初から色々とお話しできて、大変ありがたかったです。色々なことを教えていただきました。料理のことやら、お弟子さんのこと、好きなお蕎麦屋さんのこと、店を出されて25年経つことなど。

料理はしっかり仕事をしたものを出されます。「鮪はここでは本鮪は使いません。」「水気が鮪の美味しさを損なうからね。」「大間の鮪は高いしね。」等々の謙遜を言われますが、「もっと美味しい鮪があるのよ!」というのが高橋親方の主張だと思います。昆布で〆て乾燥させ、丁度良いところで造りととして客に出すのです。「造り」です。決して刺身を出されているわけではないのです。

どういう意味かというと、お刺身とお造りの由来の一つによります。
即ち、「お造り」には、ただ切り身にしただけではなく、松皮造りや昆布締めなど、ひと手間かけて造ったという意味も込められているといわれています。
また、魚介類の切り身を生食する料理は、江戸時代に濃口醤油が大量生産され始めたことにともなって江戸を中心に発達します。武家社会では「切る」という文字は縁起が悪いとされ「お刺身」と呼ばれるようになりました。その後関東から全国へ広まりますが、京都では「刺す」という文字も縁起が悪いとされ「造り身」と呼ばれ「お造り」へと変化します。現在は、新鮮な切り身全般の呼称に「お刺身」を使用し、尾頭付きや船盛りのように飾られたのを「お造り」と呼ぶ傾向にあるようです。

話しを戻します。
高橋親方の鮪造りと鮃造りは醤油も山葵も必要ありません。そのままが一番美味しい造りでした。鮪造りを箸でいただいた後に山葵を少しいただく。鮪や鮃の旨味を味わい、山葵とのコラボは食した後の鮪や鮃の残り旨味と山葵の香味で味わうという贅沢な食べ方ができます。

鮃は、この造りで一度供され、最後の方でもう少し食べるか?と言いながら、鮃造りをオリーブオイルで和えてキャビアを添えて出してくれました。こちらはまた別の美味しさです。手を加えることで全く別の味を提供します。

柳かれいは、相馬港に水揚げされるヤナギムシガレイのことです。相馬は大震災で大きく傷つきましたが、やっと最近柳かれいが水揚げされ始めたそうです。風評被害をまともに受けている食材の一つです。もちろん、すべて検査済みで全く問題ないのですが人の心はなかなか元に戻らないようです。

この柳かれいは焼き物でいただきました。茨城沖から福島沖のヤナギムシガレイが一番美味しいといわれますが、本当に美味しいですね。骨は唐揚げでした。お客さんが唐揚げにすると喜びますが、煎餅まで焼いて出すと皆さん箸を止めるそうです。焼の方が美味しいはずなのですが? 理由をうかがうと、「骨煎餅=唐揚げ」という印象が強く、「焼き=骨煎餅」は受け入れない方が多いそうです。試しもしないみたいです。焼の方が美味しいと思われますが??? 多分、半分は食わず嫌いかもしれません??

その他に次の順でたくさん美味し料理をいただきました。
筍とワカメのお吸い物

鮪と鮃のお造りと鮃エンガワ刺身と鮃の煮こごり
造りは最高です
ヤナギムシガレイ(相馬港柳かれい)焼物 だいこんおろしとウルイ添え
相馬産柳カレイの骨の唐揚げ
真鴨のつくねの吸い物
鴨は11月が最も脂がのるそうですが、
これも十分脂がのり美味しい鴨のつくねの吸い物でした
鯨ベーコン
久しぶりにいただいた鯨ベーコン
今迄に無い美味しいベーコンです
ナメタカレイの煮物

牡蠣てんぷら
白魚酢の物
白魚は透明で甘みがあり美味しいです
昆布〆乾燥鮃オリーブオイル和えのキャビア添え

鯨尾の身の生姜焼き

食事:鯛茶漬け
香の物:菜の花の塩もみ

菓子:白花豆の練きり

本当においしい食事でした。また、訪問することを約束してご馳走様でした。
摂取熱量:1300kcal

0 件のコメント:

コメントを投稿