2018年5月28日月曜日

だしの研究(2)

昨日に続き、本日もだしソムリエ協会開催のだしセミナーに参加しました。

本日のテーマは、西洋のだしと中華のだしです。

西洋のだしの講師は、銀座のRestaurant Annoreveの山岸シェフです。
フュージョン料理を提供されている方で、有名レストランで料理長を務められ、ハリウッドのアカデミー賞での料理にも関わられた方だそうです。

作るのは、次の3種のフォンを造りました。
白色系のフォンは
①フォン・ド・ヴォライユ
②フュメ・ド・ポワソン
褐色系のフォンは
③フォン・ド・ヴォー

①フォン・ド・ヴォライユ
鶏を中心に用いたフォンです。透明で黄色がかっています。香りは当たり前ですが鶏の香りです。
②フュメ・ド・ポワソン
舌平目を用いたフォンで、生から煮だしたので透明で魚の香りのするフォンが出来上がりました。
白色系2種
③フォン・ド・ヴォー
子牛をオーブンで焼いた後に煮だすフォンで、ブラウンで濃い味の骨髄の香りがするフォンができました。

その後に、それぞれのフォンを用いて、3品の料理を山岸シェフが造り皆で試食です。
①フォン・ド・ヴォライユを用いて、地鶏の胸肉のソテーです。

②フュメ・ド・ポワソンを用いて、真鯛の白ワイン蒸し
③フォン・ド・ヴォーを用いて、もち豚のロースト

それぞれ、フォンをソース煮詰めてその旨味を活かす料理でした。同じ食材を用いると間違いないということは良く理解できました。

続いて、中華は赤坂四川飯店総料理長の鈴木シェフです。
中華は、湯(タン)というだしが複数あります。また、地域で呼び名も変わります。しかし、基本的な考え方はどこの地域も同じという、さすが中国というだしの世界です。
基本的には、最上級の湯、普通の湯、2番だしの湯という3段階に分かれています。
それぞれの湯は、それぞれに合う料理に使われます。
今日は3段階の湯を引いて、それぞれの湯に合う料理を鈴木シェフが造ります。

四川での湯の呼び名は、ランクが高い方から「清湯」「毛湯」「白湯」となる。広東では、「頂湯」「上湯」「二湯」となる。
今回、毛湯を造り、毛湯から清湯と白湯を作るという手順でした。

まずは毛湯造り。
老母鶏、鶏ガラ、手羽先、鶏もみじはそれぞれ表面のアクをとり下茹でしてあります。
これらを水に入れ火にかけて、丁寧に灰汁をとります。その後ネギ、生姜の香味野菜を加えて加熱します。表面に浮いた油を取り除きながら煮込みます。弱く沸騰している状態を保ちます。
毛湯の出来上がりです。

頂湯は毛湯を沸騰させて、鶏ささみと豚赤身ミンチを混ぜて水で溶いて紹興酒を加えたものを加えます。そこに、金華ハムと干し貝柱を加えて煮ます。ここでも紹興酒を加えて加熱を続けます。肉が浮いたら長ネギ生姜を加え2-3時間煮込みます。
煮詰まって黄金色のスープになったら濾します。これで、清湯の出来上がりです。品の良いスープです。

清湯は綺麗なスープ

白湯は、毛湯に背脂とラードを加え強火で煮たてて1時間ほど煮込みます。スープが白濁したら濾して出来上がりです。

清湯を用いて、夏草のスープ

毛湯を用いて、卵ときくらげのスープ

白湯と毛湯を用いて白菜と貝柱の煮込み

2018年5月26日土曜日

だしの研究(1)

本日、だしソムリエ協会が開催するセミナーに参加しました。明日も、引き続きセミナーがあります。

だしについて包括的な勉強ができるということで、札幌から東京に来ています。
このセミナーの内容は次のようです。

  1. 日本人の食生活
  2. だしと調味料
  3. 日本料理とだし
  4. ラーメンとだし
  5. 西洋料理とだし
  6. 中華料理とだし
本当に、包括的なお話で、基礎の学習機会の提供ということのようです。

学習方法は、今時あり得ない、成人学習モデルには全く当てはまらない、講義形式でした。本当に、まだ、こんな学習環境で成人学習を行っているとことがあること自体が信じられませんが、ある意味、これが現実なのかもしれません。

数か月前に放送されていた、嵐の桜井さんが主演されていた学園ドラマ「先に生まれただけの僕」では、アクティブラーニングという言葉で成人学習の一つの手法が紹介されていました。日本も、成人学習がここまで浸透してきたかと、ホットしたのでした。十数年前に、企業の学習や研修などで、「教えない学習・研修」ということを唱えて、この方が学習成果が高いと訴えてきました。

当時は、まだ大学教育にさえ導入されていなかったので、私の言っている意味がわからないという教育専門家もいました。欧米では、すでに成人学習理論に基づく教育システムが動いており、中国や韓国はこの手法に追随していました。このままでは日本の教育はどうなるの?心配したのを思い出します。日本は、中国に追いつけなくなるという心配です。

その後、教授システム学という学問領域が日本にもでき、理論的な学習システムを構築するようになります。それが長い時間をかけて学校教育を変えてきていると認識しているので、嵐の桜井さんのドラマを拝見して「ホッ」としたのです。
ところが、まだまだ一般の教育には浸透していないのであるということを、本日のセミナーで学習側として経験してしまいました。教育をする側の方は、もう少し教育や学習のありかたについて勉強されると良いのになと思います。

話が全く違う方向に行ってしまいました。
日本のだしほど、再現性が高いものはないのではないかと感じました。当然ですが、同じ材料を用いるという前提の上での話です。すなわち、簡単なのです。
和の代表的な乾物を用いるだしは、中華やイタリア・フレンチのだしの引き方に比べると温度管理と手順が簡単です。かつ、時間もかかりません。時間がかからない理由は、だしの素材を作るまでに多くの時間と手間がかかっているので、その材料を用いると簡単だということです。最初から各々がとれたての材料からだしを引く中華・西洋と比べると、簡単ですし時間もかかりません。このだしの素材を提供する乾物の力は凄いなと思います。

もちろん、和のだしでも、乾物を使わないで素材からだしを引くものもあります。こちらは、中華・西洋だしと同様に、時間と手間がかかります。ラーメンのだしなどは、中華の湯の引き方に近いので。
ということで、明日も講義型のセミナーは続きます。

テースティングをしました。
煎り大豆、血合い抜き鮪節、干香茸の混合だし(写真 左)
切り干し大根、スイートピア(トマト)の混合だし(写真 右)

香茸のだしは初めてでした。3種混合でのテースティングでしたので、香茸だけでどんな香りと旨味なのかわかりませんでした。3種を混ぜただしは、悪くないけど雑味があると感じました。この雑味は何が原因なのかは分りませんでした。

切り干し大根は、そのものの香り・味・旨味を提供するので強烈です。ドライトマトのグルタミン酸はほとんどかき消されますが、何かあるという余韻は感じます。

色々なだしがあります。日本の食材は豊富なので、まだまだ新たな組み合わせで美味しい旨みのだしが開発されるかもしれません???

2018年5月11日金曜日

桜(SAKURA) 弘前城 青森県

4月末の連休の初めに弘前へ。
昨年に続き桜が目的でした。昨年は、同日程で伺った際には、満開の2日間を過ごしました。今年は、昨年と比べて、1.5日遅らせての訪問を予定して行きました。その目的は、花筏です。桜の花が散り、お城の水面を覆い尽くす景色が見られるそうです。話には聞いていますが、見たことが無いのでそれを目的にしました。

弘前には、秋田県から入りました。大館市できりたんぽ鍋をいただき、その後弘前にはいるという計画でした。大館のきりたんぽ鍋もいくつかお店がありますが、やはり老舗の「むらさき」に伺いました。10分ほど早く着きましたが、快く迎えて下さいました。多分、30年ぶりのむらさきのきりたんぽ鍋です。味は相変わらず良いだしを用いて、大変厚いきりたんぽが乗っています。ここの切りたんぽは、粉々になることはありません。煮込んでもしっかりしていて、これが切りたんぽです。美味しいきりたんぽ鍋でした。


大館経由で弘前に入り、HOTELに行く間に、リンゴパイ4種をゲットしてチェックインです。荷を置いて、カメラを持ち、いよいよ弘前城へ1年ぶりの訪問です。
リンゴパイ人気No2の駅前のパン屋さんスリーブリッヂ (Three Bridge)
街の中は、桜の花びらが冷たい風に舞っています。期待大でお城に向かうと、暫くすると城の外堀の桜が目に入りました。満開です。近づくと、外堀には桜の花びらが落ちています。一面桜の花びらとはいきませんが、所々が桜の花びらで覆われています。今晩と明日にかけて気温が上がり風が吹くと桜が散り、筏になるところが見られるかもしれないと、淡い期待をいだいて、一晩目の夕食に向かいました。

予約はせずに、小料理店のふじやへ向かいました。ラッキーな事に1席だけ空いているということで席について、アラカルトでオーダーです。しばらくすると、長野から来られたという方がお一人で来られ、閉店までゆっくりとお話ししました。大変楽しい時間を過ごすことができ、今年の弘前はラッキーかもしれません。
ふじやさん
翌朝は、朝からお城へ直行です。昨日より確実に散った花が増えています。筏までにはもう少々足りないという所でした。その後、津軽塗の職人さんを訪問し、津軽塗の現状などについて色々とお話しできました。文化庁政策により、補償金が出ていることと、職人が育たないことに悩まれていたのが印象的でした。二日目は、曇りで光が余り良くない1日でしたので、写真はあまり取れませんでした。
伺った津軽塗り職人さんのお父さん(有名な方でした)の記事
最終日の朝は、昨日よりも早起きでお城へ行きました。ラッキーです。ほぼ完全なる花筏を見ることができました。水面一面はピンク色で、桜の木もピンク色です。これは、きれいな光景です。風の向きで、筏が移動することを経験しました。1時間ほどで、お堀の反対側へ移動するのです。朝起きで行ったのが幸いして、ベストな状況での花筏を見ることができました。朝起きは良いのですね。

弘前の桜は、昼間の桜の他に、夜桜は幻想的で異なる趣の桜が楽しめます。また、お城以外にも見所があります。見どころ満載でした。
二日目 内堀では風の関係で筏は堀の奥へ
二日目;ほぼ筏ができました
最終日:外堀の一面の花筏に桜の影が映ります

2018年4月26日木曜日

食べ歩き(140) 秋田みかわ 天ぷら 秋田市

秋田みかわ

今回は開始時間を遅らせていただいたので、到着するとカウンター席はほぼ満席で、既に天ぷらは開始されていました。カウンターでけでなく、小上がり席にも入られていて、北嶋親方は、大変忙しそうです。忙しいのは、良いことです。

席に着きしばらくすると、最初にトリ貝の刺身、シドケとコゴミのお浸し、行者にんにんくとヤリイカに温泉玉子黄身を合えた小鉢が出されました。行者ニンニクと玉子の黄身が大変良く合います。韮と玉子が良く合うのと同じように行者にんにくも相性がよさそうです。秋田はこの時期は山菜の宝庫ですですので、山菜の料理、特に天ぷらは最高です。今日は、秋田前の山菜天ぷらを秘かに楽しみにして伺ったので、幸先よく山菜のお浸しで、まずはそのものが持つ味を楽しませていただきました。天ぷらにするとこの味が凝縮し、油との相性でうま味が増すのが楽しみです。


さて、天ぷら開始です。
車エビを揚げ時間を変えて二つ続きました。揚げ時間で、海老のうま味凝縮と水分量の減少がもたらす違いがハッキリと分かります。どちらが好きかは、その方の好みによるでしょう。

天ぷらにもさまざまな物があります。私自身は、全くの素人ですが、天ぷら料理を次のように捉えています。天ぷらという調理方法を最大限発揮して、しっかり限界まで揚げきる方法。限界まで天ぷら調理を削ぎ落して、素材の生のうま味を活かす方法。よって、食材の熱が加わったところと生のところの両方のうま味を味わうことになる。素材自体に手を加えてよりうま味を増した素材を作り天ぷら調理法で最大限良さを引き出そうとする方法、などなど。色々な哲学と目指す方向があるようです。また、これらの何れかを哲学として、他のやり方を一部取り入れているのが現在の天ぷら店なのではないかと捉えています。私自身は、限界まで揚げきった天ぷらが好みです。

エビの頭が続きました。今日のエビの頭で感じたのは、前回に比べて胡麻油がほんの少しですが香りが立ったと感じました。好みで言うと、こちらの香り立ちのエビの頭が美味しいなと感じます。

実は、ここから山菜が続いたのでした。予想的中で嬉しい限りです。
山菜ホシアグラ、タラの芽、こごみ、ウドと山菜4連続でした。それぞれの山菜にて、味、香り、食感が変わります。また、揚げているのでそれぞれの山菜の味、香り、食感が強化されてうま味が増します。先付で出された山菜とこの山菜4連続を比較検討してみると、天ぷらにすると、山菜のうま味が凝縮してうま味が増すことと、香りが増すのでうま味が強化される食材なんだなと改めて感じました。何はともあれ、旬で産直の山菜の天ぷら食べ比べは嬉しい限りです。


続いて、今年初の稚鮎です。この時期に稚鮎ですかと尋ねると、「秋田の県北で鮎を養殖していて、そこから入荷します。」「県北の養殖鮎は、滋賀に送られ琵琶湖で放流されて捕獲されると琵琶湖産鮎となり高値になるんです。」のようです。秋田には、実は美味しい食材がいっぱいあります。鮎も、河豚も産地なのに知られていなのが残念ですね。
稚鮎は蓼酢おろしが添えられました。超定番ですが、これは理にかなった組み合わせなのです。鮎の苦みとタンパク質に、蓼酢の蓼の辛みと酢の酸味にだしのうま味が加わります。これにより、多くのうま味のレセプターを刺激するので、一層美味いと感じるのです。昔の方は、凄いです。科学的ではなく、感覚的に稚鮎には蓼酢を添えるようにしたのですから。揚げ具合、鮎の苦みと香りに蓼酢がマッチした大変良い天ぷらでした。

次は、富山産白エビです。前回は白魚でしたが、これが時期を過ぎ白エビになりました。白エビも美味しい食材でした。

メゴチ、はふんと紫ウニの大葉はさみ揚げと続き、ギンポが出ました。


ギンポは、天ぷら業界では、「銀宝を食べずして天ぷらを語る無かれ」「江戸っ子たるもの、借金してでも春は銀宝を喰え」と言われるほど昔から天ぷら向け食材なのです。しかし、食べたことが無かったので今回が初めてです。親方曰く「ギンポは処理が難しく、刺身でも焼いても煮ても食べると小骨が気になります。しかし、天ぷらでじっくり揚げることで小骨が気にならなくなります。ギンポの天ぷらは有名ですが、次期が短いです。」
穴子より身がしっかりしていてもっちりしています。大変おいしい食材でした。

鮑、墨烏賊、江戸前キス、ホタテ、大潟村アスパラガス、椎茸、紅あずまさつまいもが続きました。最期は、対馬産穴子で天ぷら終了です。

食事は、芝エビのかき揚げ天丼と山菜天茶をいただきました。甘味はあまおうのシャーベットでした。北嶋さん曰く「気持ち良い食べぶりで。」とお褒め or お叱りを頂戴して終了でした。


最後にいただいた、山菜かき揚げの天茶をいただいて感じたのは、だしに入れたことで山菜の香りが立つということでした。女性向けです。ここでアイデアが浮かびました。おそばの文化で「ぬき」と言う文化があります(江戸にも有ったのですが(東京には全くないわけでなく、メニューにある店もある)、今は釧路のお蕎麦屋さんを中心に北海道では普通のメニュー)。これは、天ぷらの温かいそばつゆ(かも南蛮等の)に、そばを入れないで出す、即ち、ソバが無いかも南蛮のような物です。これを、山菜かき揚げ天茶で出したら良いのではないかなと感じました。ちょっとしたメニューが看板になることもあるので面白いかもです。秋田発の呼び名、女性にはご飯が無いので抵抗が減るので食べやすい、何しろ天ぷらとしても美味しいし、吸い物としても一番だしに油が加わるのでうま味が増します。色々と広がるなと思います。

食後の雑談の中で、北嶋さんに話すと、「天吸」と言うのがあるのでそうです。これまでのキスの天吸とは異なる料理になるとは思います。なにしろ、だしはたっぷりでお茶漬けの量に山菜かき揚げを入れて香りが立つのを楽しむので。多分、誰かがそのうちに始めるかもしれませんね???   ウマイを追及している方がたくさんいるので。

北嶋さんの天ぷらは、前回に比べて美味しくなっていると感じました。もちろん食材が違いますが、ブレが少なかったと思いました。これから益々成長されると思いますので、楽しみなお店です。五月女親方と世代交代することを祈念してます。

2018年4月25日水曜日

食べ歩き(139) 日本料理たかむら 江戸料理 秋田市

先月に続いて秋田の日本料理たかむらへ伺いました。前回の鮟肝が忘れられません。
今回も前回同様の時間に伺いました。すでに先客がありです。
高村さんは、昨日骨折したと言いながら、・・・。
痛々しいギブスに包まれた左腕を抱えてます。転倒したそうです。右腕でないのが不幸中の幸いです。

八寸から開始でした。天然の子持昆布、車エビ、バイ貝、あさり玉子寄せ、もろきゅう。卵焼き。
一つひとつが、全てしっかりとした仕上がりです。つぶ貝かなと思ったのですが、バイ貝でした。似てますが、ゴツゴツ感が異なります。

二品目は、蕪餠です。中華の大根餅からヒントを得て和食用餠に取り組んでいるそうです。 蕪をだしで炊いて小麦粉とタピオカスターチで固めるそうで、崩れずに温度に関係なく成形しやすいのでこの組み合わせが良いそうです。これにトリフ塩と焼いたカスミを擦りおろしていただきます。なかなか良い味です。

今日は、秋田産の20kgの鮟鱇の肝です。凄い鮟肝でした。下処理の素晴らしさは相変わらずです。鮟肝のエグミゼロです。今日の鮟肝は、先月の物に比べて本当に僅かですが甘味を感じます。伺うと、鮟肝には、味醂と砂糖を使うそうです。その分量の違いかもしれません。前回、「わたしが、これまで抱いていた鮟肝の味」の概念を変えられた「たかむらの鮟肝」は健在です。かつ、デカくてラッキー!!

続いては、お待ちかねの吸い物でした。熊本産筍、きんめだい、バチコに姫チンゲン菜に「花山椒」のお吸い物です。花山椒なんて、いつ食べたか忘れました。高村さんによると、昔は良くありましたが、今は、京都の高級割烹でないとお目にかかることがないほど貴重な小さな春物です。これも、仕入値は半端ではなかった・・・。そうです。花山椒と鰹だしの香るお吸い物は、嬉しい一品でした。

次は、お造りでした。北海道産カレイの昆布締め、秋田産サクラマスのルイベ、墨烏賊です。サクラマスのルイベも、たかむらならではの味に仕上がってます。いくつかの下処理してからルイベにするので水っぽさはゼロで脂のりが絶妙です。カレイも捕れ始めていてこれからどんどん出てくる魚です。このカレイは、〆具合が良かったです。

焼き物は、真魚鰹の幽庵焼きでした。幽庵焼きは甘めに仕上がるので、好きな付け焼き方法です。確か北村祐庵という茶人家が考案したと言われていて、真魚鰹などを、醤油、酒、味醂を1:1:1であわせてユズを加えて漬け込んでから焼くので甘めに仕上がるのであったと思います。真魚鰹の幽庵焼きも美味しく仕上がっています。

続いて、「猪とリブロースのポタージュ」という料理名で良いのでしょうか???
これは、本日の一押しでしたし、これまで食べた肉を用いたポタージュで一番好きな物となりました。作り方を伺うと、とんでもなく手間と時間とコストがかかってます。
比内地鶏、スッポン、沢山の野菜、春トリフも入れて煮込み、これに猪を加えて煮込みます。野菜などは取り除き裏ごしして作ったポタージュスープでまた猪とリブロースを煮るそうです。猪の脂とリブロースが大変良く合います。猪の独特の臭いとエグミが全くなくなっていますが、猪の脂の持つ独特のうま味だけが残っています。こんな風に調理できるのだな?!と感心します。この猪とその他大勢の野菜からのうま味が一体となったポタージュドロドロスープが最高のうま味を持っただしになっています。こんな味のだしのポタージュスープは初めてです。野菜のうま味と猪のうま味が全体をまとめます。もう一度食べたい料理でした。

煮物は、三陸産鮑の蒸物にせりやアメーラトマトとカボチャを添えて。鮑のうま味が凝縮されています。

馬糞ウニのクリームコロッケに春トリフをすって乗せました。春トリフの香りを感じるとコロッケの揚げ物を感じてウニが追いかけて来ます。2口で食べるのが惜しいです。これは写真が無かった。

食事はワラビ擦りのジェノベーゼにイタリアンチーズをかけたたかむら麺。ワラビ擦りの独特の粘りが発揮された山菜ジェノベーゼでした。

デザートはマンゴープリンと柑橘

今回の一押しは、「猪とリブロースドロドロポタージュスープ煮込み」でした。「もう一度食べてみたい。」と話したら、「予約の時に、そう言われる方も居ます。」ということは、また、いただけるかもしれません?

2018年4月20日金曜日

桜(SAKURA) 平泉 岩手県

地水庵さんを訪ねて岩手県平泉町へ伺いました。世界遺産登録になり、色々なところが補修作業されているのでしょうか?駅から金色堂入口の途中の無量光院跡でも工事をしています。

平泉駅から世界遺産の金色堂に向かう道路沿いは満開を終えた花びらが風に揺られて飛んでいます。駅を出て少し行くと桜並木の始まりです。そこから金色堂の入り口まで続いていますので、結構長い区間をピンク色が彩ってます。
平泉の桜も、今年は早かったそうです。

食べ歩き(138) 日本料理e.(イーピリオド) 仙台市

日本料理e.

真っ白な壁が印象的な千葉さんの店です。若手で大変頑張られているお店です。今日の訪問時間中はカウンターを独占できますよということで、千葉さんの前の席に通されました。2階のお客さんと、1階のテーブル席のお客さんが居られるので、目の前の親方は忙しく動き回ります。

分けとく山で修業されていたころの同期の方が、四国でミシュランをとられたということで、ここの日本料理e.と、その他にも分けとく山から独立した方々が頑張られています。

千葉さんも、分けとく山のごはん料理である、炊き込みのご飯を出されます。これが残るとお土産にしてくださるのが、お得感と嬉しさを提供します。このご飯が、今日は何かな?と思いめぐらすのも楽しみの一つです。さて、今日は何でしょうか?

先付は、ホタテ、鮑、トリガイの土佐酢ジュレでした。土佐酢はしっかりとした味です。このように、これが土佐酢だという酢の物は、最近は少ないので返って新鮮です。

次はアスパラガスの穴子巻き天ぷらとこごみの天ぷらでした。アスパラと穴子で巻いて揚げている美味しい揚げ物です。ただ、アスパラの主張が強いので、穴子とアスパラを一緒に揚げる必要性があるか?と少しだけ疑問もありました。小さい揚げ物なので、二つを別々にして揚げて、一緒に口に入れ口内調理も面白いのではと閃きました。

八寸です。
シドケとヤリイカ
ツブの煮もの
空豆
チーズの桜の香り付
フォアグラの茶碗蒸しに青のりをかけて
山菜天ぷら
玉子焼き
一つ一つに手を抜かずに、しっかりと造られています。お酒を飲む方は、これをゆっくりと一つずついただかれるのだと思います。お酒を飲まない人にとっては、ゆっくりいただいても、お酒を飲みながらのゆっくりとは比べ物にならないほど早くなってしまいます。今日は、ゆっくりゆっくりと、一つずつを楽しみました。

お吸い物は、アイナメにうすい豆(えんどう豆の一種)の擦り流しです。お吸い物のだしは、昆布をしっかり効かせて鰹節でも引いた合せだしです。日本料理の楽しみには、お吸い物があります。個人的には、ここで出されるお吸い物がどうなのかが一番気になります。ここでホットしますし、味への思考、味の嗜好、味の指向が読み取れそうな気がしています。個人的には、これを「三しこう」とでも呼ぶと覚えやすいかなと思っています。

お店、あるいは、親方の味に対する考え方が良く出る料理です。また、味の好き嫌いも理解しやすい料理です。加えて、お店や親方の料理の基礎なので、これから先の方向を示してくれると感じます。日本料理では「だし」、中華料理では「湯」、フレンチやイタリアンでは「フォン」と言うことになります。各店、各シェフが毎日整える基本の味なので。これをいただきながら、千葉さんの料理の礎をいただきました。美味しいアイナメと一緒に。

向付は、マコガレイ、石鯛、根室産海胆のお刺身でした。昆布で〆ていないお刺身は、久しぶりでした。この直球勝負は面白かったです。もちろん、良い食材で美味しいです。マコガレイは今シーズン初でした。これからの季節は、徐々に鮃に変わって鰈が美味しくなってきますね。

サワラ西京焼きにプチヴェールが添えられています。春の魚の鰆ですが最も美味しい時期は冬の期間ですので、そろそろ最後の時期になります。定番西京焼きの一つですが、美味し鰆でした。

金目鯛の揚げ出しと山菜のみずです。キンキは、焼いても揚げても美味しいですね。また、揚げ出しの汁が抜群に美味しかったです。

鯛の子・ふき・筍の煮ものは、大変優しい味に仕上げています。前の料理の揚げ出しの汁とは異なり、だしも抑えながら料理されています。食材がそれぞれ主張が強いので、炊くことでそれぞれの食材の主張が失われない程度に味を入れて三者を調和しています。煮汁をスプーンを使って最期までいただいてしまいました。

ヤリイカの焼き物となの花は、ビジュアルが綺麗な仕上がりになっています。食用の花を用い、黄色には卵を使っているようです。最小限の味付けで、イカと菜花でした。

メインは、仙台牛のローストビーフに玉葱とブロッコリー添えでした。肉の火入れは前回同様に良い加減です。よって、肉の持つうま味が凝縮されていてそのままいただきます。この肉であれば、ソースを使うのも面白いかもしれないと感じました。和のソースというのは確立していないので、再現性豊かな和ソースを開発すると面白いかもしれません。ああるいは、暖かいだしの中に入れてしまうのも面白いかもしれません。冷たいだしジュレも良いか??

さて、本日の御飯です。裏から土鍋が出てきました。千葉さんが土鍋の蓋をあけると、景色はピンクです。心の中で「やったーー。」です。桜えびと新生姜の炊き込みご飯でした。「やったーーー」の理由は、桜えび大好き、しかし北海道ではあまり見ない。この時期は関東では桜えびでしょう。毎年、生桜えびを食べたいと思っていましたが、その夢かなわずでしたので、この春先にピンクの生桜えびが頂けたのは幸せです。

親方曰く、「桜えびは生のものと、炒って香りを出したもの両方使っています。」そうです、そうすると香りと味ともに二種類の桜えびを同時に味わうことができるのです。これに、新生姜が主張してきます。バランスが良いです。
残りのご飯はおにぎりにしてくださいました。翌朝にこれをいただいたのですが、時間がたつと桜えびの主張が低下し、新生姜の主張が強くなることを経験しました。翌日まで楽しむのであれば、少しだけ新生姜の量を下げると面白いかもしれません。
来年も食べたいですね。来年入る時期がわかったら連絡を貰うことにしよう。

デザートは、果物と三宝柑のシャーベットでした。三宝柑は初めていただきました。美味しい果物です。